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企業分析 / 三井住友フィナンシャルグループ(8316)

三井住友銀行の預金の利息は、金利が上がった分、貸す方が払う利息の増え方とどれだけ違う?

三井住友銀行に預金している人がもらう利息は、金利が上がった分、借り手の企業や個人が払う利息の増え方と比べてどれだけ増えたの?

三井住友銀行の国内の預金等利回(預金に払う利息の平均の率)は、2022年度0.00%・2023年度0.00%から、2024年度0.06%、2025年度0.20%へと上がりました。同じ間、国内の貸出金利回(貸す方からもらう利息の平均の率)は2022年度0.83%・2023年度0.84%から2024年度1.02%、2025年度1.34%へと、より大きく上がりました。この2つの差である預貸金利回差は、2022年度0.83%から2025年度1.14%に広がりました。

取引の関係
預金者三井住友銀行借り手預金預金の利息貸出金貸出金の利息預金者三井住友銀行借り手預金預金の利息貸出金貸出金の利息

借り手:企業・個人

  • 預金者→三井住友銀行:預金(預金者が三井住友銀行に預金する)
  • 三井住友銀行→預金者:預金の利息(銀行が預金者に利息を払う。2025年度の国内の預金等利回は0.20%)
  • 三井住友銀行→借り手:貸出金(銀行が企業・個人に貸し出す)
  • 借り手→三井住友銀行:貸出金の利息(借り手が銀行に利息を払う。2025年度の国内の貸出金利回は1.34%)

資金調達費用(預金利息)

三井住友銀行が預金を集めるために払う費用は、預金に対する利息です。三井住友銀行単体・国内業務部門の資金利益(貸出と預金の利息の差し引き)は、2022年度634,720百万円、2023年度609,175百万円、2024年度847,865百万円、2025年度1,148,025百万円でした。2024年度の前年比の増減は、貸出金で+1,391億円、預金で▲823億円でした。

2026年3月末の三井住友銀行の円の預金は130兆円で、このうち普通預金は90兆円です。三井住友銀行の預金のうち普通預金は63%を占めています。

政策金利が上がったときの資金利益への影響試算

会社は2025年5月16日、政策金利が+0.25%上がるごとの資金利益への影響(初年度)を+1,000億円と説明しました。2026年5月18日には、同じ政策金利+0.25%の前提で試算を+1,100億円に更新し、「B/Sの変化も踏まえ更新」(B/S=貸借対照表=ある時点の資産と負債の一覧)と述べています。この試算は変更されました。

普通預金の金利の前提と、その後の利回りの実績

前提の普通預金という一種類の金利の上げ幅と、実績の預金全体をまとめた預金等利回の前年比は、集計の範囲が異なる数字どうしの比較になります。

収益

三井住友フィナンシャルグループの連結経常収益(銀行が一般企業の売上高に代えて示す収益の合計)は、2021年度4,111,127百万円から2023年度9,353,590百万円、2025年度10,790,853百万円へ増えました。

地域別の経常収益では、日本が2021年度2,622,484百万円から2025年度5,051,761百万円に増え、米州は2021年度606,120百万円から2025年度2,568,458百万円に増えました。欧州・中近東は2021年度289,018百万円から2025年度1,487,784百万円、アジア・オセアニアは2021年度593,504百万円から2025年度1,682,849百万円になりました。

資金運用収支(利息の受け取りと支払いの差し引き)は、国内で2024年度724,014百万円から2025年度1,312,866百万円に増え、海外では2024年度2,179,735百万円から2025年度2,015,974百万円に減りました。

事業部門別の2025年度の連結粗利益は、ホールセール12,534億円、リテール15,556億円、グローバル15,509億円、市場6,978億円でした。

事業と経費

会社は財務目標の項目として「ベース経費」(営業経費から収益連動経費・先行投資にかかる経費・マーケット環境に伴う変動等を除いたもの)を使っています。事業部門別の連結業務純益(粗利益から経費などを引いた値で、一般貸倒引当金繰入前の値)は、2021年度から2025年度にかけて、ホールセールが4,697億円から9,971億円、リテールが2,149億円から4,277億円、グローバルが4,312億円から6,558億円、市場が3,381億円から5,087億円に増えました。

設備投資の総額は2025年度に4,775億円でした。IT投資額は2023〜2025年度の中期経営計画で8,000億円、2026〜2028年度の中期経営計画では3年間で1兆円です。

ベース経費の目標とその後の実績

会社は2024年6月21日と2026年6月19日の有価証券報告書で、前中期経営計画のベース経費の目標を2022年度実績比「削減」と説明しました。2023年度のベース経費は2022年度実績比▲300億円でしたが、2025年度は2022年度実績比「横ばい」の16,050億円になり、目標には届きませんでした。会社は2026年5月の質疑で、前中期経営計画で△1,600億円のコスト削減を行ったと述べ、ベース経費について「横ばいを維持するという考え方は大きく変わらない」と説明しています。

利益と資本

連結経常利益は2021年度1,040,621百万円から2023年度1,466,128百万円、2025年度2,303,350百万円に増えました。2025年度の決算短信の経常収益経常利益率は21.3%です。

2025年度の投資家説明会での目標と実績を比べると、連結業務純益は目標18,500億円に対し実績23,309億円、与信関係費用は目標▲3,000億円に対し実績▲3,884億円、親会社株主純利益は目標13,000億円に対し実績15,830億円でした。

2022年度のROCET1とベース経費の目標

会社は2023年6月22日の有価証券報告書で、前々中期経営計画の2022年度目標を、ROCET1(資本に対する利益の割合)8.5%以上、ベース経費は2019年度実績比で削減、と説明しました。2022年度の実績はROCET1が9.4%、ベース経費は△150億円の削減で、目標を上回りました。

2025年度のROCET1と普通株式等Tier1比率の目標

会社は2026年6月19日の有価証券報告書で、前中期経営計画の2025年度目標を、ROCET1 9.5%以上、普通株式等Tier1比率(質の高い自己資本が、リスクを反映した資産に対してどれくらいあるかを示す比率)10%程度と説明しました。2025年度の実績はROCET1が15.2%、普通株式等Tier1比率が10.3%で、どちらも目標を上回りました。

2026年度の親会社株主純利益の目標と進捗

会社は2026年5月18日、2026年度の親会社株主純利益の目標を17,000億円と説明しました。2026年4〜6月の実績は5,014億円で、進捗率は29%でした。

2028年度のROTE目標と進捗

会社は2026年5月18日、2028年度のROTE(無形固定資産の影響を控除した有形自己資本利益率)の目標を13%と説明しました(有価証券報告書の表記では13%以上)。2026年4〜6月のROTEは13.8%でした。

株主への還元

三井住友フィナンシャルグループの1株あたり配当金は、2018年度60円、2019年度63円、2020年度63円、2021年度70円、2022年度80円、2023年度90円、2024年度122円、2025年度157円でした。これらの額は2024年10月1日の株式分割(3分割)を踏まえて遡り調整された値です。利益のうち配当に回した割合である配当性向は、2024年度40.3%、2025年度38.0%でした。配当と自己株式の取得を合わせた総還元性向は、2018年度44%、2019年度51%、2020年度51%、2021年度41%、2022年度58%、2023年度59%、2024年度61%、2025年度54%と推移しています。

自己株式の取得額は、2018年度700億円、2019年度1,000億円、2022年度1,387億円、2023年度2,113億円、2024年度2,500億円、2025年度2,500億円でした。2026年5月には1,800億円の実施を公表しています。会社は2026年10月1日を効力発生日とする株式分割(2分割)も予定しており、分割後の2026年度の1株配当予想は90円です。

2025年度の1株配当予想

三井住友フィナンシャルグループは2025年5月16日の投資家説明会で、2025年度の1株配当予想を136円に設定すると説明しました。その後確定した2025年度の1株配当は157円で、予想を上回りました。

配当性向の方針と実績

同じ2025年5月16日の説明会で、会社は株主還元の方針として「累進的配当・配当性向40%」を示しました。その後の配当性向は2024年度40.3%、2025年度38.0%で、2025年度は方針の40%を下回りました。会社は、修正後の目標を上回った約800億円分については配当を引き上げず、自己株式の取得を優先したと説明しています。

資本の使い道と計画

2025年度の設備投資の総額は4,775億円でした。IT投資額は、2023〜2025年度の中期経営計画で8,000億円、2026〜2028年度の中期経営計画では3年間で1兆円としています。

政策保有株式の削減計画と進捗

会社は2026年5月18日の投資家説明会で、取引関係の維持などを目的に持つ他社の株式である政策保有株式について、2024〜2028年度で△6,000億円を削減する計画を示しました。5年間の計画の2年目までの実績にあたるため、判定は途中です。同じ削減額について、質疑応答の資料では「これまでの2年間で3,000億円を削減した」と説明されています。

まとめ

三井住友銀行の国内の預金等利回は2022年度0.00%から2025年度0.20%に上がり、同じ間に貸出金利回は0.83%から1.34%に上がりました。預貸金利回差は0.83%から1.14%に広がり、貸出の利回りの方が大きく上がっています。グループ全体の経常収益経常利益率は2025年度21.3%で、1株配当は157円、配当性向は38.0%でした。資本の面では、政策保有株式の削減が2025年度までの進捗52%の段階にあります。

次の決算注目ポイント

次の通期決算では、国内の貸出金利回・預金等利回・預貸金利回差を決算説明資料と投資家説明会資料で確認できます。配当性向・総還元性向・自己株式の取得は決算短信と投資家説明会資料に載ります。政策保有株式の削減額と進捗率は投資家説明会資料に載ります。

補足表

項目 金額 期間
設備投資の総額 4,775億円 2025年度
IT投資額(中期経営計画) 8,000億円 2023〜2025年度
IT投資額(次期中期経営計画) 3年間で1兆円 2026〜2028年度
政策保有株式の削減計画 △6,000億円 2024〜2028年度
政策保有株式の削減額 △3,090億円 2024〜2025年度
自己株式の取得(2026年5月公表) 1,800億円 2026年5月

用語

用語 言い換え
配当性向 利益のうち配当に回した割合
総還元性向 配当と自己株式の取得を合わせて、利益のうちどれだけ株主に還元したかを示す割合
政策保有株式 取引関係の維持などを目的に持つ他社の株式
B/S 貸借対照表=ある時点の資産と負債の一覧
ROCET1 資本に対する利益の割合
普通株式等Tier1比率 質の高い自己資本が、リスクを反映した資産に対してどれくらいあるかを示す比率
ROTE 無形固定資産の影響を控除した有形自己資本利益率
- 預金等利回:銀行が預金に払う利息を、預金の平均残高で割った年率
- 貸出金利回:銀行が貸出金から受け取る利息を、貸出金の平均残高で割った年率
- 預貸金利回差:貸出金利回から預金等利回を引いた差
- 三井住友銀行単体・国内:三井住友フィナンシャルグループの中心の銀行子会社である三井住友銀行の、グループ全体や海外を除いた国内部分だけの数字

調査の記録:企業分析レポート(PDF・14頁・2026年10月10日)。この記事のもとにした照合済みの資料です。

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