みずほの預金利息はなぜ2倍になったのか
当社と国内の連結子会社(海外店を除く)に預金をしている人が受け取る利息は、2026年3月期にどれだけ増えたか
国内の預金利息は、2025年3月期の約1,729億円から2026年3月期は約3,487億円になりました。同じ国内で、貸出金利息は約7,807億円から約9,475億円に増えています。国内の預金利回りは0.14%から0.28%へ、貸出金利回りは1.26%から1.54%へ上がりました。
当社と国内の連結子会社:海外店を除く
- 預金者→当社と国内の連結子会社:預金(預金者が預金する)
- 当社と国内の連結子会社→預金者:預金利息約3,487億円(預金に対して利息を払う)
- 当社と国内の連結子会社→貸出先:貸出(貸し出す)
- 貸出先→当社と国内の連結子会社:貸出金利息約9,475億円(貸出金に対して利息を受け取る)
資金調達費用(預金利息)
みずほフィナンシャルグループが事業資金の主な調達方法は、預金者からの預金です。有価証券報告書では「国内」(当社と国内の連結子会社、海外店を除く)という区分で、預金者に払う利息が開示されています。この国内の預金利息は、2025年3月期の約1,729億円から2026年3月期は約3,487億円になりました。預金の平均残高に対する利息の割合である利回りも、0.14%から0.28%へ上がっています。
同じ国内の表では、会社が他の金融機関などに預けている資金(預け金)の利息も、2025年3月期の約1,409億円から2026年3月期の約2,924億円に増えました。海外の店舗を含む別の区分では、海外の預金の利回りは3.26%で、国内の0.28%より高い水準です。
収益
資金調達と対になるのが、貸出金から受け取る利息です。国内の貸出金利息は2025年3月期の約7,807億円から2026年3月期の約9,475億円に増え、利回りは1.26%から1.54%へ上がりました。受け取る利息から払う利息を差し引いた資金運用収支は、2026年3月期に国内が約8,133億円、海外が約5,913億円で、国内が海外を上回っています。手数料などの役務取引等収支は、国内約6,431億円、海外約4,553億円でした。
受け取る利息と払う利息の差である資金利益(連結・海外を含む)は、2026年3月期に13,770億円で前期の10,452億円より増えました。会社はこの増加について「有価証券利息配当金や貸出金利息の増加」を挙げています。一方、2024年3月期の資金利益が8,876億円と前期の9,605億円を下回ったときは、会社は「貸出金利息の増加を預金利息・売現先利息の増加が上回ったこと」を理由に挙げ(売現先利息は、現金担保付きで証券を一時的に売って資金を調達する取引にかかる利息)、2023年3月期の9,605億円についても同じ趣旨を説明しています。つまり貸出金利息そのものは増え続けていても、預金利息などの支払い側の増え方がそれを上回ると、資金利益は前期を下回る方向に働きます。2026年3月期の連結粗利益34,772億円については、会社は「円安効果や円金利上昇影響の取り込み」という市場要因を挙げています。
銀行の業務の利益を示す連結業務純益(ETF関係損益等(銀行単体合算ベースのETF関係損益とみずほ証券連結の営業有価証券等損益)を含む)は、2025年3月期の11,442億円から2026年3月期は14,611億円になりました。
事業と経費
みずほフィナンシャルグループはカンパニー別に業績を開示しています。個人や中小企業などを担う「リテール・事業法人カンパニー」の業務純益は、803億円(2023年3月期)から2,375億円(2026年3月期)へ増えました。海外の大企業を担う「グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー」は、2026年3月期3,677億円、前期3,653億円でした。市場取引を担う「グローバルマーケッツカンパニー」は、1,568億円(2025年3月期)から2,599億円(2026年3月期)になりました。なお2023年4月1日にカンパニーの組み直しがあり、それ以前の区分とは単純に比べられません。
貸出金が返ってこないおそれに備える与信関係費用は、2026年3月期に△1,330億円でした。
2023年3月期の年度計画に対する連結業務純益の達成率
会社は5ヵ年経営計画で、2023年3月期の連結業務純益+ETF関係損益等の年度計画を8,600億円としていました。その後の実績は8,071億円で、達成率は93%です。判定は「届かなかった」。年度計画の額と実績の額を直接比べると、実績は計画に届いていません。ただし会社は、外国債券ポートフォリオの含み損の健全化の影響を除けば年度計画を超過達成したと説明しています。
利益と資本
連結の経常利益は、2025年3月期の約11,681億円から2026年3月期は約15,732億円に増えました。親会社株主に帰属する当期純利益(純利益)は約8,854億円から約12,486億円になり、2019年3月期の約966億円から数えて7期続けて前期を上回っています。有価証券報告書に書かれた連結自己資本利益率(ROE)は、2025年3月期8.56%から2026年3月期11.47%です。
普通株式等Tier1比率の運営レンジ
会社は2026年6月19日提出の有価証券報告書で、損失に備える中核の自己資本の比率である普通株式等Tier1比率(その他有価証券評価差額金を除く)を「9%台半ばから10%台半ばのレンジで運営」すると説明しています。同じ資料に記載された2026年3月末の比率は9.9%(バーゼルⅢ最終化完全実施ベース)で、判定は「計画どおり」。この9.9%はレンジの中に収まっています。なお2026年3月期の純利益について、会社は「上方修正した業績予想を超過達成」と説明しています。
株主への還元
1株当たりの配当は、2022年3月期の80.00円から2026年3月期の145.00円まで毎期増えています。配当性向(提出会社・1株配当÷1株当たり利益に相当する会社の公表値)は、2025年3月期66.45%、2026年3月期63.96%でした。2026年3月期の配当金の総額は、中間約1,804億円、期末約1,770億円です。
2026年3月期以降の増配方針
会社は2025年6月17日提出の有価証券報告書で、来期より「安定的な収益基盤の着実な成長に基づき、毎期5円を目安に増配を実施」すると説明していました。その後の実績は、2026年3月期の年間配当145.00円で、前期140.00円から5円増えています。判定は「計画どおり」。説明どおり5円の増配でした。
2025年3月期の期末配当予想からの増額
2025年3月期の期末配当について、会社は期中に直近予想の65円を示していました。その後の実績は75円で、判定は「上回った」。直近予想より10円多い額で確定しています。
自己株式の取得(会社が自社の株式を買い、株主に資金を戻す方法のひとつ)も複数回行われました。2025年5月15日の決議では23,909,200株、約1,000億円を取得し、2025年11月14日・2026年2月2日の決議では47,016,600株、約3,000億円を取得しています。会社は株主還元の方針として「累進的な一株あたりの増配に加え、機動的な自己株式取得を実施する」こと、自己株式取得は「総還元性向50%以上を目安に決定」することを示しています。
2026年5月15日決議の自己株式取得上限に対する取得額
会社は2026年5月15日の決議で、自己株式取得の上限を価額の総額1,000億円としました。取得期間は2026年5月18日から8月31日までで、有価証券報告書に記載された2026年5月末までの取得額は約148億円です。判定は「途中」。取得期間が終わったあとの結果は、まだ確認できていません。
資本の使い道と計画
2026年3月末に保有する国債は153,444億円でした。2026年3月期には、リテール・事業法人カンパニーの関係で株式会社UPSIDERホールディングスを連結子会社化しています(取得の額の記載はありません)。2026年3月期の設備投資額(ソフトウエア投資を含む)は、みずほ銀行が3,084億円、みずほ証券が357億円でした。みずほ銀行が持つソフトウエア資産は、2024年3月末の約2,916億円から2026年3月末に約4,198億円になっています。
みずほ銀行の勘定系システムMINORIリニューアルの進み具合
会社は2024年6月19日提出の有価証券報告書で、みずほ銀行の勘定系システムMINORIのリニューアルについて、投資予定総額約1,151億円、完成予定2026年12月と説明していました。その後の実績は、2026年3月末の既支払額が約922億円で、2024年3月末の約207億円から増えています。判定は「途中」。既支払額は投資予定総額に近づいていますが、まだ全額の支払いには届いておらず、完成予定も先の2026年12月です。
まとめ
国内の資金の流れを2025年3月期と2026年3月期で比べると、預金者から集めた預金への利息(費用)は約1,729億円から約3,487億円へ、貸出金からの利息(収益)は約7,807億円から約9,475億円へ、どちらも増えました。この差を反映する連結の資金利益は13,770億円となり、連結業務純益は14,611億円、純利益は約12,486億円まで伸びています。会社はこの増加を有価証券利息配当金や貸出金利息の増加、円金利上昇影響の取り込みといった市場要因で説明しています。利益の伸びに応じて、1株配当は145.00円に増え、自己株式の取得も複数回行われました。2026年3月末の普通株式等Tier1比率は9.9%で会社が示したレンジの中にあり、MINORIリニューアルという大きな投資は2026年3月末時点でまだ途中です。
次の決算注目ポイント
次の通期決算(2027年6月ごろ提出予定の有価証券報告書)では、同じ数字が次の位置に載ります。
- 国内・海外別の利息と利回り(預金・貸出金):資金運用/調達の状況の表
- 損益の状況(資金利益・連結業務純益)
- カンパニー別の業務純益
- 配当の額・配当性向、自己株式の取得状況
- 普通株式等Tier1比率
- みずほ銀行の勘定系システムMINORIリニューアルの既支払額と完成予定
補足表
今回取り上げた6組の照合(P1・P7・P8・P9・P11・P12)は、いずれも上の各節の中で扱いました。
用語
| 用語 | このレポートでの意味 |
|---|---|
| 国内 | 当社と国内の連結子会社(海外店を除く)。店舗の場所による区分 |
| 預金利息 | 銀行が預金者に払う利息 |
| 貸出金利息 | 銀行が貸出金から受け取る利息 |
| 利回り | 預けた額・貸した額に対する利息の割合 |
| 資金利益 | 利息の受け取りと支払いの差 |
| 資金運用収支 | 受け取った利息から払った利息を差し引いた額 |
| 連結業務純益 | 銀行グループの業務の利益を示す指標(ETF関係損益等を含む) |
| ETF関係損益等 | 銀行単体合算ベースのETF関係損益とみずほ証券連結の営業有価証券等損益 |
| 売現先利息 | 現金担保付きで証券を一時的に売って資金を調達する取引(現先取引)にかかる利息 |
| 普通株式等Tier1比率 | 損失に備える中核の自己資本の比率 |
| 配当性向 | 1株配当が1株当たり利益に対して占める割合(会社の公表値) |
| - 当社と国内の連結子会社(海外店を除く):みずほフィナンシャルグループと、日本国内にある子会社(海外の店舗は含まない) | |
| - 国内:店舗が日本にあるかどうかで分ける区分 |
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