ガンホーの売上を支えるのはパズドラか、ラグナロクか
ガンホーの売上は、今もパズル&ドラゴンズ(パズドラ)が中心なの?
パズドラシリーズの売上高が連結売上高に占める比率は、2016年12月期の84.3%から2025年12月期には27.4%まで下がりました。同じ期間に連結の営業利益も約461億円から約51億円になりました。
Gravityグループ:子会社
- パズドラ利用者→ガンホー:ゲーム内アイテム購入などの代金(パズドラシリーズの売上になる(連結売上高に占める比率は2016年12月期84.3%から2025年12月期27.4%へ低下))
- ガンホー→パズドラ利用者:パズル&ドラゴンズ(パズドラ)シリーズのゲーム提供(利用者が代金を払う元になる商品)
- Gravityグループ→ガンホー:ラグナロク関連タイトルの売上高(連結売上高の増減の主な理由として会社が挙げている)
研究開発費と広告宣伝費
ガンホーは利用者から売上を得る前に、ゲームをつくる研究開発費と、知ってもらうための広告宣伝費を払います。研究開発費は2016年12月期8.3億円、2022年12月期約21億円、2024年12月期約20億円でした。広告宣伝費は2016年12月期約150億円、2021年12月期約105億円、2024年12月期約112億円でした。
会社は2024年12月期の販売費及び一般管理費について「主に広告宣伝費の増加により35,923百万円」と説明しています。2025年12月期については「業務委託費を中心に新規開発タイトルに係るコストが増加しました」と説明しており、新しいタイトルをつくる外部への委託費がこの期の費用を押し上げた形です。
収益
パズドラシリーズの売上高は、2016年12月期約948億円(連結売上高に占める比率84.3%)から、2018年12月期約553億円(60.1%)、2021年12月期約558億円(53.4%)、2023年12月期約417億円(33.2%)、2024年12月期約427億円(41.2%)と変わり、2025年12月期の比率は27.4%でした。
新しい収益の柱を目指す説明とその後
会社は2017年12月期の有価証券報告書で、中長期的な経営戦略として「新しい収益の柱となるキラーコンテンツの」企画・開発を推進すると説明しています。その後、パズドラシリーズの連結売上高比率は2017年12月期73.8%から2025年12月期27.4%まで下がり、会社は子会社のGravityグループ(ラグナロク関連タイトル)について「引き続き連結業績に大きく貢献しております」と説明しています。2024年12月期の有価証券報告書では、Ragnarok関連タイトルの「関連タイトルの売上増加により、従来と比較すると」パズドラシリーズへの「依存度は低下傾向にありますが」と説明しています。判定は比べられない、です。
利用者数(MAU)を重視する説明とその後
会社は2017年12月期の有価証券報告書で「MAUを経営指標として最重要視」すると説明しています。MAUは「月に1回以上ゲームにログインしている利用者」の数という定義です。判定は開示なし、です。照合した資料には定義と「最重要視」という説明があるだけで、MAUの実際の数値は載っていない状態です。
一方で北米は2021年12月期約37億円から2025年12月期約90億円に増えています。会社は2025年10月23日に「Ragnarok: Twilight」の東南アジア地域での配信を始めたと説明しています。
事業と経費
ガンホーグループは「単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載しておりません」(セグメント=事業の種類や地域などで分けた区分)と説明しており、事業の区分ごとの売上高・利益は公開資料に示されていない形です。2025年12月期の単体(ガンホー単独)の売上高は約336億円、営業利益はマイナス約37億円でした。サービス停止や収益力の低下などで資産の帳簿の額を切り下げる減損損失(資産の帳簿上の価値を実際の価値に合わせて引き下げる処理)は、2024年12月期約1.7億円、2025年12月期約2億円でした。
新作では、2025年5月29日に「パズル&ドラゴンズ ゼロ」の正式サービスを始めたと説明し、2025年12月には「LET IT DIE: INFERNO」をリリースしたと説明しています。
新作「ニンジャラ2」のリリース計画とその後
会社は2026年8月7日の中間期決算短信で、「ニンジャラ2 未知なる惑星」を来春リリースすると説明しています。同じ資料で、会社は複数の新作パイプラインを開発しているとも説明しています。判定は途中、です。2026年8月7日の時点ではリリース前の段階で、来春の予定として説明されています。
利益と資本
連結の売上高と営業利益は、2016年12月期に売上高約1,125億円・営業利益約461億円、2019年12月期に売上高約1,014億円・営業利益約283億円、2022年12月期に売上高約1,055億円・営業利益約276億円、2023年12月期に売上高約1,253億円・営業利益約279億円、2024年12月期に売上高1,036億円・営業利益約175億円、2025年12月期に売上高約932億円・営業利益約51億円と変わりました。売上高に対する営業利益の比率は、2022年12月期26.2%、2023年12月期22.2%、2024年12月期16.9%、2025年12月期5.4%でした。2026年12月期中間期(半年分)は、売上高約518億円、営業利益約64億円でした。
通期の連結業績予想を開示しない方針とその後
会社は2024年2月14日の決算短信で「通期の連結業績予想については開示しない方針です」と説明し、2026年2月13日、2026年8月7日の決算短信でも同じ方針を示しています。判定は開示なし、です。2026年12月期の配当予想も「未定」と説明されており、通期の売上高・営業利益の数値そのものは、照合した資料のどこにも示されていない形です。
株主への還元
1株当たりの年間配当は、2016年12月期3.0円(2019年7月1日の株式併合(普通株式10株を1株に併合)より前の額)から、株式併合後の2019年12月期30円、2021年12月期60.0円(ゲーム事業創業20周年の記念配当30円を含む)、2024年12月期60.00円、2025年12月期90.00円になりました。
株主還元方針(変更前)とその後
会社は2026年2月13日の決算短信で、変更前の方針として「連結配当性向を30%以上とし、安定的かつ継続的に実施する方針です」(連結配当性向=グループ全体の利益のうち、配当にあてた割合)と説明しています。判定は比べられない、です。この方針をいつから適用したかの記載が資料に無いため、どの期の実績と比べればよいかを決められません。参考として、2024年12月期の連結配当性向は32.8%でした。
株主還元方針(変更後:DOEと配当性向50%以上)とその後
同じ決算短信で、会社は「株主資本配当率(DOE)を導入しDOE4%を指標としつつ、連結配当性向も50%以上とする方針」(DOE=株主資本配当率。株主が出した資金に対してどれだけ配当を払ったかを示す指標)を示し、「2025年12月期より適用します」と説明しています。同じ決算短信に載る2025年12月期の実績は、純資産配当率(決算短信の表記ではDOE)4.0%、連結配当性向348.9%でした。方針と同時に示された値です。判定は計画どおり、です。DOEは指標の4%を満たし、配当性向も50%以上の目安を上回りました。
資本の使い道と計画
自己株式の取得(2026年2月13日決議)とその後
会社は2026年2月13日の決算短信で、自己株式の取得の上限を2,100,000株・50億円と説明しています。2026年4月30日時点の累計で、取得した株式は1,981,500株、取得価額の総額は約50億円となり、会社は「自己株式の取得は終了しました」と説明しています。判定は計画どおり、です。取得した株数・金額はいずれも上限の範囲内で、取得は終了した形です。
自己株式の消却(2026年2月13日決議)とその後
同じ決算短信で、会社は16,000,000株の自己株式の消却(会社が買い戻して保有していた自社の株式を、発行済株式数の計算から除く手続き)を行うと説明しています。発行済株式数(自己株式を含む)は、2025年12月期末の69,161,416株から、2026年12月期中間期末には53,161,416株になりました。判定は計画どおり、です。発行済株式数の減少は、説明した消却の株数とつながっています。
自己株式の取得と消却(2023年2月14日決議)とその後
2022年12月期の有価証券報告書に載る重要な後発事象として、会社は2023年2月14日の取締役会で、上限2,800,000株・50億円の取得と、3,943,200株の消却を決議したと説明しています。その後、1,994,900株、取得価額の総額約50億円を取得し、2023年12月期の発行済株式の減少株式数は3,943,200株でした。判定は計画どおり、です。取得は上限内で終わり、決めた株数がそのまま消却された形です。
ソニー・ミュージックエンタテインメントとの資本業務提携とその後
会社は2026年8月28日に、SON Financial合同会社から株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントへの当社普通株式12,006,500株(売出価格の総額約286億円)の譲渡について、受渡期日を「2026 年 12 月 30 日(予定)」と説明しています。同じ資料で、業務提携の詳細は「今後両者でさらに協議を行い、詳細を確定していく予定です」と説明しています。判定は途中、です。株式の譲渡と提携の開始は、いずれも2026年12月30日の予定として説明されている段階です。
まとめ
ガンホーの連結売上高に占めるパズドラシリーズの比率は、2016年12月期84.3%から2025年12月期27.4%まで下がり、連結営業利益も約461億円から約51億円になりました。株主還元は、2026年2月13日に決めて2025年12月期から適用した新しい方針に対し、同じ日の決算短信に載る2025年12月期の純資産配当率は4.0%、連結配当性向は348.9%でした。自己株式の取得と消却も上限の範囲内で終えています。一方で、新しい収益の柱となるタイトル別の売上高や、最重要と説明されるMAUの実数は、公開資料には比率や定義の説明までしか載っていない形です。
この会社の章がある本:『一つのヒットを何度も売る会社のしくみ』
次の決算注目ポイント
次の通期決算(2026年12月期)で見る数字と、載っている資料の名前です。
- 売上高・営業利益・営業利益率・配当・連結配当性向・純資産配当率:決算短信
- 株主還元方針と期末配当:決算短信、剰余金の配当に関するお知らせ
- 地域別の売上高:決算短信
- 減損損失・自己株式の取得の額:決算短信
- パズドラシリーズの売上高と比率:有価証券報告書(事業等のリスク)
- 研究開発費・広告宣伝費:有価証券報告書(連結損益計算書関係)
- ソニー・ミュージックエンタテインメントとの提携の開始:受渡期日2026年12月30日(予定)の後に出る開示
- 「ニンジャラ2 未知なる惑星」のリリース:来春の予定の後に出る開示
補足表
本文の各節で扱った会社の説明と実績の組(P1・P2・P4〜P11)は、すべて上の各節に記載済みです。
| 会社の説明 | 実績 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| (本文の各節に記載済み) | - | - |
用語
| 用語 | 言い換え |
|---|---|
| パズドラシリーズ | スマートフォン向けゲームのほか、家庭用ゲーム機向けやキャラクターグッズなどの展開を含めた「パズル&ドラゴンズ」関連の事業全体 |
| Gravityグループ | ガンホーの子会社で、「ラグナロク」関連タイトルを運営している会社の集まり |
| 連結 | 親会社と子会社をまとめた、グループ全体の合計の数字 |
| 連結営業利益 | グループ全体で、本業からどれだけの利益が出たかを示す金額 |
| セグメント | 事業の種類や地域などで分けた区分 |
| 減損損失 | 資産の帳簿上の価値を実際の価値に合わせて引き下げる処理 |
| DOE(株主資本配当率) | 株主が出した資金に対してどれだけ配当を払ったかを示す指標 |
| 連結配当性向 | グループ全体の利益のうち、配当にあてた割合 |
| 自己株式の消却 | 会社が買い戻して保有していた自社の株式を、発行済株式数の計算から除く手続き |
| - パズドラシリーズ:スマートフォン向けゲームのほか、家庭用ゲーム機向けやキャラクターグッズなどの展開を含めた『パズル&ドラゴンズ』関連の事業全体 | |
| - Gravityグループ:ガンホーの子会社で、『ラグナロク』関連タイトルを運営している会社の集まり |
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