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企業分析 / 日本車輌製造(7102)

日本車輌製造の売上、最大の取引先はJR東海

日本車輌製造の売上は、JR東海(東海旅客鉄道)向けが一番多いって本当?

本当です。2026年3月期の連結売上高約1,000億円のうち、日本向けが約986億円でした。そのうち最大の取引先は親会社の東海旅客鉄道(JR東海)で、販売実績は約302億円、会社全体の販売実績の30.2%を占めました。

取引の関係
東海旅客鉄道日本車輌製造鉄道車両などの納入製品代金の支払(販売実績約302億円)東海旅客鉄道日本車輌製造鉄道車両などの納入製品代金の支払(販売実績約302億円)

東海旅客鉄道:JR東海

  • 日本車輌製造→東海旅客鉄道:鉄道車両などの納入(日本車輌製造がつくった鉄道車両などの製品がJR東海に渡る)
  • 東海旅客鉄道→日本車輌製造:製品代金の支払(販売実績約302億円)(JR東海が製品の代金を日本車輌製造に支払う。これが会社全体の販売実績の30.2%を占める)

資金調達(親会社からの借入金と前受金)

日本車輌製造は、米国向け大型鉄道車両案件で発生した損失による財務状況の悪化に対応するため、2017年11月に親会社の東海旅客鉄道(JR東海)から350億円の長期借入を行いました。この借入金の残高は、2025年3月末約204億円から2026年3月末約166億円に減りました。なお、連結の長期借入金のうち1年以内に返済予定の分を除いた2026年3月末の残高は約137億円で、返済期限は2027年です。

また、受注時に顧客から受け取る前受金という資金は、2025年3月末約12億円から2026年3月末約51億円に増えました。

長期借入金を縮減する方針

会社の説明(2026年6月25日):引き続き、長期借入金を縮減し財務基盤の強化に努める。

その後の実績:方針を示したあとの残高は、まだ確認できていません。方針を示す前の実績では、親会社から借り入れた長期借入金の残高が2025年3月末約204億円から2026年3月末約166億円に減りました。この借入は2017年11月に親会社から350億円を借り入れたものです。

判定:未定(方針を示したあとの残高は未確認)。2026年3月末までの1年で親会社からの借入残は減りましたが、連結の長期借入金のうち2027年に返済期限を迎える分がまだ残っています。

収益

2026年3月期の事業別の外部売上高は、鉄道車両事業約486億円、建設機械事業約220億円、輸送用機器・鉄構事業約218億円、エンジニアリング事業約75億円でした。

鉄道車両事業の中でも、JR各社向けの売上高は2025年3月期約343億円から2026年3月期約309億円に、公営・民営鉄道事業者向け(公民営)は約104億円から約177億円に変わりました。

受注の状況を示す受注残高(まだ売上に計上していない受注契約の金額)は、2026年3月末約1,994億円で、2026年3月期の受注高(合計)は約1,362億円でした。このうち鉄道車両事業の受注残高は2026年3月末約1,426億円です。鉄道車両事業の未充足の履行義務(まだ果たしていない契約の義務に割り当てた金額)は、概ね4年以内に売上に計上される見込みで、うち1年内の分は約4割です。

日本以外の地域の売上高は、2026年3月期でアジア約12億円、米国7,200万円、その他6,900万円でした。

2026年3月期の事業別売上の見通し

会社の説明(2025年4月28日):建設機械事業、輸送用機器・鉄構事業及びエンジニアリング事業が減少することから減収となる見通し。

その後の実績:輸送用機器・鉄構事業の外部売上高は2025年3月期約222億円から2026年3月期約218億円に、建設機械事業は約228億円から約220億円に、それぞれ減りました。一方、エンジニアリング事業は約65億円から約75億円に増えました。

判定:一部が見通しと逆(建設機械・輸送用機器・鉄構は減収で見通しどおり、エンジニアリングは増収で見通しを上回った)。建設機械と輸送用機器・鉄構は会社の説明どおりの方向でしたが、エンジニアリングは説明と逆の方向になったことが分かります。

事業と経費

2026年3月期の事業別のセグメント利益(営業利益ベースの数値です)は、鉄道車両事業約46億円、建設機械事業約39億円、輸送用機器・鉄構事業約32億円、エンジニアリング事業約11億円でした。

2026年3月期の利益の見通し

会社の説明(2025年4月28日):利益については、主に建設機械事業で減益となることから。

その後の実績:建設機械事業のセグメント利益は2025年3月期約43億円から2026年3月期約39億円に減りました。一方、連結の営業利益は2025年3月期約69億円から2026年3月期約116億円に増えました。

判定:計画どおり(建設機械事業は減益。連結の営業利益は増益)。建設機械事業単独は会社の説明どおり減益でしたが、連結全体の営業利益は増益になったことが分かります。

利益と資本

連結売上高と連結営業利益は、2017年3月期約1,011億円・営業損失マイナス約51億円から、2026年3月期約1,000億円・営業利益約116億円まで変わりました。2018年3月期には、米国向け大型鉄道車両案件の解決金の支払に伴う損失約264億円を特別損失に計上し、同期の営業活動によるキャッシュ・フローはマイナス約372億円でした。2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは約80億円でした。自己資本比率は2017年3月期21.7%から2026年3月期53.9%まで変わりました。

2023年度の営業利益率目標

会社の説明(2021年3月30日):中期経営計画「日車変革2030」では、2023年度の数値目標として連結の営業利益率8.0%を掲げました。有価証券報告書でも、目標年度は2024年3月期に連結売上高営業利益率8.0%と記載されています。

その後の実績:2024年3月期の売上高営業利益率(会社公表値)は6.9%でした。会社は2023年4月25日に、2023年度の数値目標を見直すことを決定しました。見直しの理由として挙げられたのは、新型コロナウイルス感染症の影響長期化や原材料価格の高騰等です。

判定:届かなかった(目標8.0%に対し2024年3月期6.9%。目標は2023年4月25日に見直し)。目標の数字と実績の数字を比べると、目標には届かなかったことが分かります。

2023年度のROIC目標

会社の説明(2021年3月30日):同じ中期経営計画で、2023年度のROIC(税引後営業利益を投下資本で割った値)の数値目標として6.5%を掲げました。

その後の実績:ROICについては、確認した決算短信・決算説明資料・有価証券報告書のいずれにも実績値の記載がなく、目標の数字だけが分かる状況です。

判定:開示なし(ROICの実績値が資料に無く照合できない)。目標と実績を数字で比べることは、本レポートが確認した資料の範囲では行えませんでした。

見直し後の経常利益率目標

会社の説明(2023年4月25日に見直し、2026年6月25日の有価証券報告書にも記載):見直し後の経営指標として「連結売上高経常利益率5%の安定的確保」を掲げています。

その後の実績:売上高経常利益率は、2024年3月期から2026年3月期までの3期とも、目標を上回る水準でした。

判定:上回った(2024〜2026年3月期の3期とも目標を上回る水準)。見直し後の目標を、3期ともそれぞれ上回っていることが分かります。

2024年3月期業績予想との比較

会社の説明(2023年4月25日):2024年3月期の連結業績予想は、売上高880億円、営業利益41億円でした。

その後の実績:2024年3月期の連結売上高は約881億円、連結営業利益は約61億円でした。

判定:上回った(売上高・営業利益とも予想を上回った)。

2025年3月期業績予想との比較

会社の説明(2024年4月26日):2025年3月期の連結業績予想は、売上高910億円、営業利益55億円でした。

その後の実績:2025年3月期の連結売上高は約963億円、連結営業利益は約69億円でした。

判定:上回った(売上高・営業利益とも予想を上回った)。

2026年3月期業績予想との比較

会社の説明(2025年4月28日):2026年3月期の期初の連結業績予想は、売上高930億円、営業利益56億円でした。会社は2025年10月28日に、業績予想を売上高980億円、営業利益82億円に修正しました。

その後の実績:2026年3月期の連結売上高は約1,000億円、連結営業利益は約116億円でした。決算説明資料では、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも過去最高と説明されています。

判定:上回った(期中に上方修正され、修正後の予想も上回った)。

株主への還元

配当については、長期的・安定的に実施することを基本とすると会社は説明しています。なお、2018年10月1日付で普通株式10株につき1株の株式併合が行われています。

2019年3月期・2020年3月期は配当実績がありませんので記載しておりません。2021年3月期の1株当たり配当額は10.00円でした。その後の年間配当金は、2022年3月期20.00円(配当性向5.5%)、2023年3月期20.00円(配当性向9.3%)、2024年3月期25.00円(配当性向6.7%)、2025年3月期35.00円(配当性向7.9%)、2026年3月期45.00円(配当性向5.6%)と変わりました。

2026年3月期に実施した自己株式の取得は、単元未満株式の買取りなど534株、取得価額の総額1,672,130円でした。株主総会決議や取締役会決議による自己株式の取得は該当事項なしでした。

配当予想と実績の比較

会社の説明:2024年3月期の年間配当予想(2023年4月25日)は1株20.00円、2025年3月期の年間配当予想(2024年4月26日)は1株30.00円、2026年3月期の年間配当予想(2025年4月28日)は1株40.00円でした。

その後の実績:2024年3月期の年間配当金は25.00円、2025年3月期は35.00円、2026年3月期は45.00円でした。

判定:上回った(2024〜2026年3月期の3期とも期初の配当予想を上回る年間配当)。期初に示した配当予想を、3期とも実際の配当が上回っていることが分かります。

資本の使い道と計画

有価証券報告書によると、2026年3月期の設備投資の総額は約43億円でした。決算短信のセグメント情報における有形固定資産及び無形固定資産の増加額(連結計上額)は、2025年3月期約31億円から2026年3月期約44億円に変わりました。減価償却費(連結計上額)は、2025年3月期約25億円から2026年3月期約26億円に変わりました。2026年3月期の研究開発費は約16億円でした。

2027年3月期の連結業績予想(2026年4月24日)は、売上高1,070億円、営業利益88億円、年間配当予想1株50.00円です。会社は、当初は前連結会計年度(2026年3月期)と同程度の利益確保を見込んでおりましたと説明しています。

まとめ

日本車輌製造の2026年3月期の連結売上高約1,000億円は、日本向けが約986億円を占め、その中でも親会社である東海旅客鉄道(JR東海)向けの販売実績約302億円が、会社全体の販売実績の30.2%という大きな比率を占めています。2026年3月期は、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも過去最高となり、期初・期中の業績予想をいずれも上回りました「2024年3月期業績予想との比較」の節「2025年3月期業績予想との比較」の節「2026年3月期業績予想との比較」の節。年間配当金も期初の予想を3期連続で上回って増えています「配当予想と実績の比較」の節。一方、中期経営計画「日車変革2030」で掲げた2023年度の営業利益率目標8.0%には届かず「2023年度の営業利益率目標」の節、見直し後の経常利益率目標5%は3期とも上回っています「見直し後の経常利益率目標」の節。米国向け案件に関連して親会社から借り入れた長期借入金の残高は減少していますが、連結の長期借入金には返済期限2027年の残高が残っています「長期借入金を縮減する方針」の節。

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次の決算注目ポイント

補足表

本文の各節で扱った会社の説明と実績の照合の組を、表としてまとめます。

会社の説明 実績 判断の理由
「2023年度の営業利益率目標」の節 中期経営計画「日車変革2030」2023年度目標:営業利益率8.0%(有報では2024年3月期8.0%) 2024年3月期の売上高営業利益率6.9%。2023年4月25日に目標を見直し(理由:コロナの影響長期化・原材料価格の高騰等) 届かなかった
「2023年度のROIC目標」の節 同目標:ROIC6.5%(税引後営業利益÷投下資本) 決算資料に実績値の記載なし 開示なし
「見直し後の経常利益率目標」の節 見直し後の経営指標:連結売上高経常利益率5%の安定的確保 売上高経常利益率は2024年3月期から2026年3月期までの3期とも目標を上回る水準 上回った
「2024年3月期業績予想との比較」の節 2024年3月期業績予想(2023年4月25日):売上高880億円・営業利益41億円 実績:売上高約881億円・営業利益約61億円 上回った
「2025年3月期業績予想との比較」の節 2025年3月期業績予想(2024年4月26日):売上高910億円・営業利益55億円 実績:売上高約963億円・営業利益約69億円 上回った
「2026年3月期業績予想との比較」の節 2026年3月期業績予想(2025年4月28日):売上高930億円・営業利益56億円(2025年10月28日に980億円・82億円へ修正) 実績:売上高約1,000億円・営業利益約116億円(各利益は過去最高) 上回った
「配当予想と実績の比較」の節 配当予想(2023〜2025年の各4月):2024年3月期20.00円、2025年3月期30.00円、2026年3月期40.00円 実績:2024年3月期25.00円、2025年3月期35.00円、2026年3月期45.00円 上回った
「2026年3月期の事業別売上の見通し」の節 2026年3月期の売上見通し(2025年4月28日):建設機械・輸送用機器・鉄構・エンジニアリングの3事業が減少し減収 輸送用機器・鉄構約222億円→約218億円、建設機械約228億円→約220億円、エンジニアリング約65億円→約75億円 一部が見通しと逆
「2026年3月期の利益の見通し」の節 2026年3月期の利益見通し(2025年4月28日):主に建設機械事業で減益 建設機械のセグメント利益約43億円→約39億円、連結営業利益約69億円→約116億円 計画どおり
「長期借入金を縮減する方針」の節 長期借入金を縮減する方針(2026年6月25日) 方針を示したあとの残高は未確認。方針の前の親会社からの長期借入金残高は2025年3月末約204億円→2026年3月末約166億円。2017年11月に親会社から350億円を借入。別途、連結の長期借入金のうち1年以内返済予定を除く2026年3月期末残高は約137億円(返済期限2027年) 未定

用語

調査の記録:企業分析レポート(PDF・13頁・2026年10月17日)。この記事のもとにした照合済みの資料です。

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