値上げできる会社のしくみ:6社を並べてわかったこと
同じ時期に同じように物の値段が上がっても、会社によって打ち手は大きく分かれました。上げた会社、上げなかった会社、上げようとして通らなかった会社があります。
書籍『値上げできる会社のしくみ』は、6社の決算からその違いを読みました。結論を先に言うと、正解の値付けはひとつもありませんでした。あるのは、値段以外に何を動かせるかという設計の違いです。
この記事は各章の要点だけの要約です。会社名を押すと、その会社の数字のページに移ります。
サイゼリヤ
値段を上げない代わりに、上げなくて済む形を作った。
2025年8月期は売上高2,567億円、営業利益155億円。売上高に対する営業利益の割合は6.0%。客が店で払った代金がそのまま会社の売上になる形で、値段を動かさない代わりに動かせるものを別の場所に持っています。
FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)
同じ外食で、値段の動かし方が真逆。
皿の色で価格帯を分ける形をとり、値段そのものを動かす余地を店の中に持っています。据え置いて別の場所で調整するサイゼリヤと、構えが逆になっています。
ファーストリテイリング(ユニクロ)
一度失敗した値上げを、通せるようになった。
2015年11月には国内既存店の売上が前年同月比マイナス8.9%、客数マイナス12.9%。そこから研究開発・企画・素材調達・販売を自社で進める形を強め、2025年8月期は売上収益3兆4,005億円、営業利益5,643億円(利益率16.6%)です。
良品計画(無印良品)
つまずいたあと、値段の構造そのものを組み直した。
2023年4月には国内既存店とオンラインの売上が前年同月比85.8%まで落ちました。上げるものと据え置くものを分け、いちばん安い帯には別の商品を用意して、値段の構造を組み直しています。
しまむら
値上げより先に、値引き販売を減らした。
2026年2月期は売上高7,000億円、営業利益615億円(利益率8.8%)で5期続けて最高益。自社工場を持たず、本社バイヤーが約600社から仕入れます。薄い粗利のまま利益率を上げた順序を、書籍の第4章で追っています。
セリア
110円から動けないことを、前提にした。
2026年3月期は売上高2,557億円、営業利益210億円(利益率8.2%)。値段を動かさないと決めた代わりに、仕様・内容量・品ぞろえ・調達・在庫の回転・店舗運営の効率を動かします。
6社を並べると、値上げできるかどうかは「強気かどうか」の話ではないと分かります。値段以外に動かせるものをどれだけ持っているか、そしてそれをいつ動かしたか。決算に出るのは、その順序のほうです。
それぞれの会社の数字は、上のリンク先のページに載せています。6社をつなげた解剖の全体は、書籍で読めます。
『値上げできる会社のしくみ』
サイゼリヤ、ユニクロ、スシロー、無印良品ほか
シリーズ「あの会社のしくみ」Vol.2/Kindle・ペーパーバック
数値は各社の有価証券報告書・決算資料によります。決算期は会社ごとに違います。この記事は情報の提供を目的としたもので、特定の会社の株式の売買を勧めるものではありません。